WR19LSレッドスポットグリーンレオパードスキン(×スネークスキン)改良ディスカスの最高峰

ディスカス小話

改良品種ディスカスの最高峰

この記事をご覧になっているあなたは、ディスカスという魚ってなんとも長ったらしい名前があるな~と思ったことはないでしょうか?

ディスカスには大きく分類して、

・ワイルドディスカス → ブラジルのアマゾン川から採取してきた野生のディスカス

・改良品種ディスカス → ヒトが水槽の中(タンクブリードとかいいます)で繁殖させて改良されてきたディスカス

の2つに、まずは分けられますが、

ワイルドディスカス

ワイルドディスカス。我が家の水槽の中に唯一いるワイルドのヘッケルディスカス。アマゾン川からはるばるやってきた野生のディスカスです。

レッドスポットディスカス

改良品種ディスカス。レッドスポット系をはじめとしてたくさんの品種がいます。

その改良品種ディスカスの中でレッドスポット系と呼ばれる品種があります。

これまたレッドスポット系ディスカスもほんとにたくさんの呼び名があったりします。

この記事ではそんなレッドスポット系のディスカスについてのお話です。

呼び名がたくさんあるレッドスポット系

当ブログを書いております管理人はほぼ20年ぶりぐらいにディスカス飼育を再開(令和になってから)しました。

令和に入った今の時代、昔よりディスカスのお店や数こそ減ったものの、

改良品種に関しては昔は高額すぎて手が出なかったディスカスが、

今でもそれなりにはしますが、なんとか手が出る値段になっているのは本当に嬉しいかぎりです。

もっとも、私の中の思い出補正(飼っていた当時は高校生)も多分にありますが…

そんなレッドスポット系と呼ばれる品種は今ではたくさんの呼び名があるようです。

・レッドスポットレオパード

・ファイヤールビー

・タンジェリンドリーム

・モザイクタンジェリン

・オリエンタルドリーム

・太陽城

・ビクトリー

・レッドダイヤモンド

・エラプション

・チャンピオンキング

・ドラゴンキング

・・・などなど、これ以外にも本当にたくさんの呼び名があるようです。

これはペナンやドイツなどにあるディスカスファームごとの

ブリーダーの方々がそれぞれ独自に名付けて販売しているのだと思います。

なので色んな呼び名があってわけ分からん…という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

こんなにたくさん呼び名があるレッドスポット系のディスカスですが、

そもそもはたった2種類の品種を指す場合がほとんどの呼び名なのです。

レッドスポット系はたった2種類を指す呼び名

・レッドスポットグリーンディスカス

・レッドスポットグリーンスネークスキンディスカス

レッドスポット系のディスカス2種。

実はこの2種類のディスカスの品種に対して、いろんな呼び名がされている場合がほとんどのようです。

レッドスポット

レッドスポットグリーンディスカス。黄色い地肌にブルーがかかり、さらにレッドスポットが散りばめられた美しい品種です。

レッドスポットスネークスキン

レッドスポットグリーンスネークスキンディスカス。レッドスポットという品種にスネークスキンという品種をかけあわせてできた品種。レッドスポットが網目のように細かく発言するこれまた美しい品種。

レッドスポットグリーンの「グリーン」の理由

記事のタイトルにある「レッドスポットグリーン」という呼び名ですが、

レッドスポットに「グリーン」が付いています。

なぜ「グリーン」という一見するとぜんぜん緑色でもないのにそんな名前がついているか…?と言いますと、

ワイルドディスカスという野生のディスカスの種類は諸説あるようですが昔から、

・ヘッケル ディスカス

・ブラウン ディスカス

・ブルー ディスカス

・グリーン ディスカス

という4つに分類されています。

この4つの中のひとつに、グリーンディスカスという種類があって、そこからの「グリーン」がきています。

ワイルドグリーンディスカス

ワイルド(野生)のグリーンディスカス。黄色い地肌を基調としながら、特に下ヒレによく発現する緑がかったグリーンカラーが美しいです。

グリーンディスカス

こちらも同じくワイルドのグリーンディスカス。こちらの写真の方がより緑がかっており、グリーンディスカスと呼ばれても不思議ではないです。【写真AC:エンリケさん】

ワイルドディスカスは黄色を基調としながらも、その上にいろんな表現をディスカスそれぞれに見せてくれます。

黄色を基本としたその上に緑がかった美しいグリーンカラーをしている個体を、グリーンディスカスと分類しているようです。

個人的にはエメラルドグリーンみたいな、緑というより青みがかった青緑色のように感じます。

「青みがかった緑っぽい色をするディスカス=グリーンディスカス」

というのだと思います。

極上個体と呼ばれるグリーンディスカスには「グリーンパウダー」と呼ぶに相応しい

言葉では表現しつくせないエメラルドの粉をふりかけたような美しいグリーンともブルーとも見える表現をする魚もいるようです。

【※管理人は極上のグリーンディスカスを所有していないため写真を掲載できませんが、もし写真提供OKですよ!という方がいたら、こちらからご連絡下さい。】

そんな極上個体なので大変に数が少なく貴重なため、当然、値段は今でも破格です。

ですが個人的にはそれに見合うだけの価値が、観る側、飼育し所有する側からすれば、あると思います。

それだけの希少性や美しさがあれば、値段は後付けで、もはや価格うんぬんではないのだとも思います。

グリーンパウダーというこの妙味ともいえる色合いは、改良品種では決して表現されない色です。

ディスカスはなぜか水槽内で繁殖されるにつれ、この妙味ともいう玄妙な色あいが無くなってしまうようです。

こういった所がワイルドディスカスの尽きない魅力であり、醍醐味とも言えると思います。

レッドスポットが1個1万円!という時代があった!

黄色を基調として、その上に素晴らしい色合いのグリーンを表現するディスカス。

そんなただでさえ美しいグリーンディスカスに、さらにレッドスポットと呼ばれる綺麗な赤い点々が発現するディスカスがいます。

レッドダイヤモンド

この写真のディスカスは改良品種のレッドダイヤモンドという呼び名。その観賞価値の高さもあって昔はレッドスポット1個1万円という時代もあったとか…

【※極上のグリーンディスカスの写真がなくて申し訳ないのですが、ワイルドディスカス専門店である大阪のペットバルーンさんには極上のグリーンディスカスが常時たくさんおります。ぜひ検索してご覧下さい!

また写真提供可能な方がおりましたらぜひこちらまで!】

日本では昔(たぶん40~50年前ぐらい?)、雑誌等でまことしやかに噂として流れていたようです。

「グリーンディスカスの中にはレッドスポット(赤い斑点)が散りばめられた個体が存在する。」

という噂が・・・

これは私の想像ですが40~50年前の当時、高度経済成長によるバブル好景気も相まって、

そんなレッドスポットがたくさん発現した極上のグリーンディスカスたちも徐々に日本に輸入されていったのだと思います。(その頃の日本はお金持ちでしたし、バンバン売れたでしょうから。)

先に述べました絶妙な色合いのパウダーグリーンの乗った極上のグリーンディスカスに、

さらに鮮烈な赤いスポットが発現した個体がいるのです。

小見出しのとおり、レッドスポットが1個発現しているごとにディスカスの値段が1万円上がる…

なんていう話を聞いたことがありますが、個人的には納得できる話だと感じます。

それほど当時は衝撃でしょうし、当時から時間が経ったとはいえ、私がディスカスを飼っていた学生時代(’96~’98)であってもそのブームの名残はあったようです。(そして後から述べますがW.W.F.F.というディスカスファームが無双していた時期でした。)

私は当時鹿児島の田舎でしたが、鹿児島の片田舎であっても雑誌を通して、そのブームの勢いはあったと今でも感じています。

お年玉やバイト代で、スポットのちょこっと発現したグリーンディスカスをようやく買えて大事に育てていたのは良い思い出です。

そして今でも、ワイルドや改良品種問わずレッドスポットの数はそのまま個体の値段に比例すると言えます。

さすがに1個1万円という程ではありませんが、ディスカスの身体全体にレッドスポットやラインが発現した

フルスポットと呼ばれるロイヤルの名を冠する「ロイヤルグリーンディスカス」の価値は相当に高いです。

ロイヤル=高貴な、という表現のとおり、ある種の高貴さを漂わせるほどの

フルスポット・パウダーグリーンのりのりの極上個体は、

ブラジルのアマゾン川広しといえど、そうそういないようです。

その確率は1000匹に1匹だとも言われます。

遺伝について詳しいことは管理人は分かりませんが、そもそもレッドスポットは劣性遺伝らしく、

その数自体が少ない事は確かなようです。

レッドスポットがただでさえ発現しにくいので数が少なく、しかもそれが美しければいくらでも価値や値段は上がってしまうのは自然なのでしょう。

ちなみにディスカスのレッドスポットは何のために発現するのか?という問いに、

ディスカスたちと生息域を一緒にしているピラニアに擬態するため、というのを何かの雑誌で読んだことがあります。

ピラニア・ナッテリーという種類のピラニアは腹部が赤っぽくなって綺麗な種類がいますが、これも美しい魚です。怖いですが…

レッドスポットを極めた先のレオパードスキン

そんな鮮烈な赤の美しいレッドスポットを散りばめて、改良に改良を重ねて作出されたのが、

レッドスポットがたくさん発現したグリーンディスカス=レッドスポットグリーンになります。

そしてさらにその後に「レオパードスキン」という呼び名が付きます。

レオパードスキン=豹皮・ヒョウ柄、という事になりますが、劣勢遺伝であるレッドスポットを発現させるために改良を重ね続けた結果、

レッドスポットが密集してきて輪っかになり、サークルスポットと呼ばれるあたかもヒョウ柄のように見える個体が作出されるようになりました。

ここで私が当時愛読していた熱帯魚雑誌で衝撃を受けたディスカスがこちら。

ピチャット記事1

1997年当時、日本国内で最高峰とされたレッドスポットグリーンレオパードスキン。愛犬チャンプ11月号増刊「熱帯魚情報誌」”Pitcha-t”Vol.8の表紙より。

上の画像は私が高校生だった当時、もっとも衝撃を受けた雑誌の表紙です。

「なんじゃこりゃ~!?」と叫びたくなるぐらい、

表紙のこのディスカスに魅せられて、さらにディスカスにハマっていったのを覚えています。(もっとも鹿児島ではそんな魚は雑誌でしかお目にかかれませんでしたが…)

雑誌の表紙の魚、呼び名を

WR19LSレッドスポッテドグリーンレオパードスキン

と言いました。

WR19LS

愛犬チャンプ11月号増刊「熱帯魚情報誌」”Pitcha-t”Vol.8、7ページ(目次)より。

↑同じ雑誌の目次のページです。

表紙の魚と同じですが、上の文章にある当時のディスカス業界を席捲していたW.W.F.F.(ワールド・ワイド・フィッシュ・ファーム)から日本へ現在最高峰のディスカスが輸入されたという記事です。

ここに英語表記ですが、WR19LS RED SPOTTED GREEN,LEOPARD SKIN(レッドスポッテドグリーンレオパードスキン)と表示されています。

当時、W.W.F.F.という世界一のディスカスファームが中国の上海にあったのですが、

そこの2人のトップブリーダー

Mr.Lo Wing,Yat Sunny(ロー・ウィング・ヤット・サニー氏)

Mr.Ng ching Yung,Rocky(ウン・チィン・ヤン・ロッキー氏)

の2人が、ある種ブランドともいえるこの魚を作出され、名付けました。

WR19LSというのは、なんだか高級車のベンツやレクサスのグレードに付けられそうな感じですが、ある意味似たようなものかもしれません。

WはW.W.F.F.のW。

Rは赤系ディスカスでREDの赤。

19というのはW.W.F.F.が血統ごとに番号を振り、19番目に名付けられたから。

LSというのはLeopard Skin(ヒョウ皮)の頭文字から。

という意味です。

要するに、WR19LSレッドスポッテドグリーンレオパードスキンというのは、

W.W.F.F.の赤系のディスカスで19番目に名付けられた、

レッドスポットがたくさん発現してしかもヒョウ柄にまでなったグリーンディスカス、

ということです。

ただでさえ美しいグリーンディスカスに、鮮烈な赤のスポットを散りばめ、

さらにそのスポットをサークルスポットと呼ばれるリング状のスポットにまで昇華させ、

ヒョウ柄まで表現してしまうという、本当に素晴らしい品種なのです。

サークルリング

購入時、サークルリングファイヤールビーという呼び名。下ビレと上ビレにちょっとずつサークルリングがあります。無事に大きくなってほしい・・・

当時はWR19とWR19LSと2つを区分けして流通していたようです。

LS(エルエス)と呼ばれるホントにブランドのような感じで、サークルスポットを巻いた表現をするこの品種は相当高値で取引されていたようです。

私も当時の雑誌で、確か10㎝程度で15万円とか見た記憶がありますが、

そのサイズでその値段なら、もっと大きなサイズならいったいいくらだったのか…恐ろしいです。

世界一とまで言われていたW.W.F.F.。今はもうないそうですが、

当時の時点でこれほどまでの魚を作出するのに10年以上はかかっていたそうです。

この神様のような2人のブリーダーの話は別記事で書こうかと思っていますが、

この魚の血統が今も世界中で脈々と息づいているのは感謝しかありませんし、

しかも手が出る値段で入手できる今の時代は本当に素晴らしいと思います。

しかし現代であっても、当時の雑誌ほどのクオリティの魚はお目にかかったことがありません。

雑誌の魚はロングボディで体型はそこそこだし、金目ではありますが、

スポットの全体バランス、サークルスポットの数など、これほどの魚は今の日本でもまずお目にかかったことがありません。(インスタとかはもっとヤバいのがいますが・・・)

ピチャット記事2

愛犬チャンプ10月号増刊「熱帯魚情報誌」”Pitcha-t”Vol.7、22ページより。

ピチャット記事3

愛犬チャンプ10月号増刊「熱帯魚情報誌」”Pitcha-t”Vol.7、23ページより。

もっともディスカスショップ自体が激減したから仕方ないのですが・・・

そして今の世界的にみても、最高級のディスカスは日本には入っては来ない時代の流れみたいですね。

インスタグラムから見れる世界には、あり得ない魚がたくさんいますが、

今の日本ではレオパードスキンうんぬんどころか、ディスカス自体が人気がなくなったのか・・・なんとも寂しい限りです。

さらに×スネークスキンという高みを目指した最高峰品種

暗い話はさておきまして、

そこからさらにレッドスポットが巻いているサークルスポットまでに極まったレッドスポットレオパードスキンから、

もっともっと高みを目指した最高峰の品種が産まれました。

それがもうひとつの、

レッドスポットレオパードスネークスキン

と呼ばれる品種です。

スネークスキンと呼ばれる、ディスカスのライン状の模様がめっちゃ細かく入った改良品種がいます。

ブルースネーク

ブルースネークと呼ばれる改良品種。網目状に細かな模様が入っている、これまた綺麗な品種です。

スネーク(蛇)のスキン(皮)のような、マスクメロンのような細かなラインやスポットを表現する品種です。

この細かなライン・スポットの表現を上手くかけ合わせてできたのが、

レッドスポットレオパードスネークスキンということなります。(個人的には勝手にレオパスネークとか略しています。)

レオパードスネーク

購入時、スーパーエラプションという呼び名。レッドスポットをさらに細かく散りばめた改良品種の最高峰です。

私の学生当時、たしかオリエンタルドリームとかいう呼び名で雑誌でちょこっとだけ見たような覚えがあります。

ですが現代の完成度はすさまじいモノがあります。

ディスカスはいくらかスポットだけでなくラインもあり、それらが混在するのが多いですが、

フルスポットの先ともいえる、ラインはまったくないスポットだけしかないのだったり、

ディスカスの顔はだいたいラインが出ているのですが、その顔までスポットだらけになっているモノまでいます。

スーパーエラプションとかスパイダーフェイスというのはレオパスネークのさらにスポット化の進んだ品種なのでしょう。

ただ私の体感的には、レオパスネークの「レオパ状態」にまでになっている個体はなかなかいないな…という印象はあります。

ロイヤルを冠するのに、フルロイヤルとかセミロイヤルとか段階分けされている?ように、

名前だけが独り歩きしていて、血は受け継いでいるかもしれないけど発現していないコというのは結構いる感じはします…。

というわけで、レッドスポット系のディスカスについてのお話でした。

やたらたくさんあるディスカスの呼び名ですが、

まったく知らない方からすると訳分からないと思いますので、ほんの少しでも良いので整理されるとありがたいです。

円盤書家

円盤書家

ディスカス大好きな書道をやる人。通算飼育歴10年のうち学生時代に3年、20年近くぶりにディスカス飼育を再開して7年になります。再開した今のディスカス業界の衰退はツラいものがありますが…盛り上げの一助となるべくブログを開設。ディスカスについて思う事をいろいろと書いていきます。

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